OpenAI は Slack を使って顧客とつながり ChatGPT を発展

「OpenAI が顧客中心の取り組みをさらに進める上で、Slack と Salesforce が力を与えてくれています。」

OpenAIHead of GTMZack Kass 氏

人工知能(AI)の研究と実装を行う OpenAI は、人々の AI 利用に革命を起こそうとしています。OpenAI が開発した ChatGPT は、多目的に使える AI チャットボットで、特に対話形式でコンテンツを生成して人々の質問に答えられることから、大きな話題を呼んでいます。

2022 年 11 月にリリースされた ChatGPT は、またたく間に世界的なセンセーションを巻き起こし、仕事の効率化を目指す何百万もの人々に利用されるようになっています。

このような顧客の急増を受けて事業をさらに成長させるために、OpenAI は Slack を使ったコラボレーションに取り組んでいます。顧客と安全な形でコミュニケーションを取り、プロジェクトを加速させて、生産性を高めるプラットフォームとして Slack を活用。あらゆる人に役立つ人工知能を実現するというミッションを進める場として機能させています。

Slack コネクトを使って顧客と直にコラボレーション

Slack コネクトを使うことで、OpenAI は顧客とのコミュニケーションを、溢れるような大量のメールのやり取りから、インタラクティブなチャンネルへと移行。2018 年に Slack を使い始めて以来、170 以上の Slack コネクトチャンネルが作成され、500 万件を超えるメッセージが送信されています。

チャンネルを使ったコラボレーションにより、OpenAI では顧客のニーズに対応するスピードと精度が高まっています。

「Slack コネクトはカスタマーエクスペリエンスにおいて非常に大きな役割を担っています」と、OpenAI の Account Manager である Anna Tifft 氏は話します。「Slack だと、自分がボトルネックにならないのがいいですね。お客様から自分の専門外の質問が出たら、より詳しい同僚に代わりに答えてもらえます。その方が早いし効率的です」。

OpenAI の Head of GTM を務める Zack Kass 氏も、自分の仕事は Slack コネクトなしでは成り立たなかっただろうと言います。Slack で仕事をすることの良さは、顧客もそのやり方を気に入ってくれる点にあると同氏は考えています。顧客にとっても快適な方法でコミュニケーションをすることで、関係を強化できるのです。

OpenAI では、Slack に加えて、ほかの Salesforce プロダクトを使ったカスタマーエクスペリエンスの向上にも取り組んでいます。Service Cloud や Sales Cloud のデータを Slack と連携させることで、日々の業務を行っている場所から、顧客の「360 度ビュー」のデータにアクセスできます。

「Salesforce を使ってすべての顧客データを 1 つの場所にまとめておけることは、大きなアドバンテージです」と Tifft 氏は語ります。「お客様のことを考えて仕事を進めるには、さまざまな会話に常に目配りしなければなりません。それぞれがバラバラのシステムで運用されていたら大変です。その意味で、単一の環境で Salesforce を使って、多くのお客様のニーズに対応できることは、私にとって極めて重要なのです」。

ChatGPT for Slack アプリで仕事を効率化

OpenAI が新たに開発した ChatGPT for Slack アプリを使えば、ChatGPT を Slack のチャンネルに直接組み込んで、AI の力を活用できます。

ChatGPT for Slack を使うことで、2 つのサービスを切り替える必要がなくなります。つまり、Slack 内で直接 ChatGPT に質問ができ、数秒のうちに答えが返ってくるのです。

「ChatGPT for Slack は私たちの仕事を助けてくれる、ワクワクするようなアプリです」と OpenAI の Solutions Engineer である Simón Posada-Fishman 氏は語ります。「例えば、内容を把握する、長いスレッドに目を通す、すばやく質問に答える、といったことに役立ちます。Slack 内にある自分の第 2 の脳として、仕事をスピードアップし、生産性を高めてくれる存在なのです」。

Posada-Fishman 氏は、Slack のプラットフォームを活用して ChatGPT for Slack アプリを開発したといいます。当初は OpenAI 内のチーム向けに開発されたツールが、今では Slack を使うすべての顧客が利用できるアプリになっています。

Posada-Fishman 氏はこう話します。「Slack 内でアプリを作るのは本当に楽しいものです。Slack のプラットフォームにはすぐに使える機能がたくさん用意されていて、想像していたよりもずっと簡単でした。Slack アプリの構築はおすすめですね。実際、楽しかったですし、時間もかかりませんでした」。

ChatGPT for Slack アプリを使えば、何らかの質問に対応しなければならない時にも、Slack を離れる必要がほぼなくなるでしょう。アプリの連携によって、質問の答えを得るのに必要なリソース、人、ツールのすべてを 1 つの場所に集められるからです。

ChatGPT は、略語の意味など、ちょっとしたことを知りたい時にも便利です。新たに Google のウィンドウを開かなくても、Slack 内で ChatGPT に直接尋ねられるので、仕事を中断せずにすみます。働く人にとって、細かいことを覚えておく負担が軽くなり、重要な業務に集中しやすくなります。

また、ChatGPT for Slack アプリには、AI が会話を要約してくれる機能があり、後からチャンネルに参加した人がそれまでの経緯を把握する場合などに役立ちます。さらに、文章作成を支援する機能を使えば、同僚や顧客に送るメッセージの下書きも楽になるでしょう。

Open AI の Head of GTM、Zack Kass 氏

「Slack 内で ChatGPT を使えるようになることで、また 1 つ強力な機能が加わりました。会話がスピードアップし、スレッドの内容も把握しやすくなって、業務の効率が上がるでしょう」

OpenAIHead of GTMZack Kass 氏

チームメンバーの結束力を高めて、組織文化を醸成

成長を続ける OpenAI にとって、人と人のつながりを保った、力強い組織文化を維持していくことが重要です。特に従業員がさまざまなタイムゾーンで働いているため、「非同期型」でのコラボレーションが欠かせません。

「メンバーの連帯感を高めるのに、Slack がとても役立っています」と語るのは、Principle Research Engineer の Boris Power 氏です。「会議ばかりで皆をうんざりさせたくないので、できるだけ Slack を使った非同期の方法で情報を共有するようにしています。Slack なら会話に加わる人数を柔軟に変えられるし、別の視点からの意見がほしい時などに、スレッドやチャンネルにメンバーを追加するのも簡単です」。

OpenAI のチームでは、Slack のハドルミーティングを使ってすばやく協働することで、不要な会議を省いています。ハドルミーティングは、Slack のチャンネルやダイレクトメッセージから、音声やビデオを使ってコミュニケーションを行えるツールです。ハドルミーティングには、チャンネル内のメンバーならだれでも参加でき、退出も自由。画面を共有して、ビジュアルを見ながら会話することも可能です。

OpenAI のチームは、Slack 内でのコミュニケーションに絵文字も活用しています。絵文字は、新たにスレッドを立ち上げることなく、考えや感想を表明するのに便利です。絵文字を使って、メッセージを確認したことやプロジェクトに現在対応中であることを伝えたり、同僚の仕事の成果を称えたりできます。

「絵文字リアクションが気に入ってよく使っています。内部で作ったおもしろいカスタム絵文字もたくさんありますよ。ちょっとした絵文字を使うことで、毎日の仕事に楽しさを加えられます」と Posada-Fishman 氏は話します。

OpenAI では、開発したモデルへのフィードバック収集にも、絵文字リアクションを利用しています。例えば、Slackbot をチャンネルに追加して、組織内のチームや顧客に、「いいね」などの絵文字を使って良し悪しを評価してもらいます。絵文字による返答で得られたフィードバックをモデルが学習し、それをもとに改善を重ねていけます。

また、OpenAI が組織内でのやり取りをすべて Slack で行っている理由として、Slack のセキュリティ機能への信頼も挙げられます。OpenAI では、メッセージの保存と充実した管理機能を利用するため、Slack の Enterprise Grid を導入。Enterprise Grid では、データの暗号化、SAML ベースのシングルサインオン、きめ細かなアプリケーション管理といった Slack の強力なセキュリティ機能が提供されています。

定型業務の自動化を中心にさらなる発展へ

ChatGPT for Slack アプリの発表は、業務自動化の世界において、これまでにはない新しい可能性の扉を開きました。人々は AI の力を使って、仕事の品質、効率、スピードを向上させるために必要な答えやガイダンスを、いつでも簡単に得られるようになるでしょう。

「Slack と ChatGPT の連携は、今後さまざまな形でさらに発展する可能性を秘めています」と Power 氏は話します。「生産性を高めるには、ワークフローの改善と組織内での連携力アップが重要になります。このインテグレーションは、Slack を使うあらゆる業種の人々にとって、極めて大きな影響を与えるものになるでしょう」。